梅色夜話

◎わが国の古典や文化、歴史にひそむBLを腐女子目線で語ります◎(*同人・やおい・同性愛的表現有り!!)

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秋夜長物語 其の七

 (其の六よりつづく)

◎第十一

 桂海律師は、まことに夢とも現とも分別のつかない梅若公の面影を身に添え、触れていた袖の移り香も、自分の物でありながら若公の形見(昨夜の思い出の品)にして、自分の山へと帰ったのだが、心はしおれ、世の人々が何か声をかけるのに、言い交わす返事もできない。
 ただ、自分で自分が泣いているとすら感じられない涙が、人目をひくので、「ちょっと病にかかったようだ」とみなに告げ知らせて、それからは誰にも会わずに、伏し沈んで日を送った。

 桂寿はこの由を伝え聞いて、梅若公に語り申し上げると、若公もまことに気がかりで気の毒なことだと心配して、ご様子はいつにもまして打ち沈んでいらっしゃるようだった。
 今もうすぐに、律師からの音信(おとずれ:便り)もあるだろうと、しばらくは心に秘めてお待ちになっていたのだが、あまりに日数も過ぎたので、桂寿を呼び寄せて、
 「ああ…、在りし夜の夢路も実感が少ないというのに、気を起こさせる文もなくて時が過ぎてしまったのを、誰のせいのつらさにしましょうか。このままでは、もうすぐにでも遠ざかって終わってしまいます。
 あの方が風の心地(風邪気味)でいらっしゃるとかいうのを聞くと、露の命もどうなってしまうでしょうか。もしはかなく(お亡くなりに)なってしまったら、亡き跡を尋ねてもその甲斐はありません。
 どんな山奥であっても、あの方の許へ尋ねて行きたいとは思うのですが、申し置きもしないでこのまま院を出れば、門主の御心にもさぞかしそむく事になるだろうと思われて、それも叶いません。
 行方を知らない徒人(あだびと:恋人OR浮気人)がただ言い捨てていった言の葉を実(まこと)にして、私に心を付けた(気に入る)のも、いったい誰がしたことなのですか。
 今のうちに私を導いて、どんな山やどこの浦であっても尋ねてお行き。」
と、御恨みをおっしゃり、涙をはらはらとおこぼしになった。
 やはりまだ、幼けなく揺らぎやすい御心であって、人にこの上もなく思い焦がれてしまったものは、何ともしようのないのが世の習いだから、ほんとうにこれも当然のことだなぁ、と桂寿は悟った。
 「その人のいらっしゃる所は、詳しく承っておりますから、お供申し上げます。しかしそうなれば、御所(若公の父の大臣)の御心もすぐれませんので、後で何なりともお申し上げなさりませ。」
 
 梅若公と桂寿とただ二人、行くべき方も知らず出奔してしまった。


++++++++++++++++++++++++++++++++

 あれ、また短い!?話の区切りの都合上、こうなってしまったので、お許しください;

 「一夜を共にした後に連絡が来なくなった→カレにとっては遊びだったのかも!?」
 なんてコトが、よく、ものの本には書かれてありますけど、その大切なアフターケアを怠るとは、ばか者ぉ!若公の悲しみ(と怒り)を見よ!相変わらず浮かれすぎなんじゃい!!そして沈みすぎ。

 その心の病の種、今回心中を激白してくれた梅若公にも注目しましょう。この子、いままではどこか神秘的で、つかみどころのないように思えましたが、今回の言葉を聞いて、やっぱり普通の子(?)なんだなーとちょっと安心しましたv 桂寿くん曰く「いとけなきあだし心」。
 はじめは「寺を抜け出すなんて…やっぱり無理」て言ってたのに、しゃべってるうちにテンションが上がったんでしょうか(俗人と一緒にして、失礼な!)、「今のうちに連れていって!」とは驚きの発言です。ほんとに、心の底から桂海律師に惚れちまったんだねぇ。ああ、そばに行って、「大丈夫だよ」って言ってあげたい。
 桂寿くんも、若公の初恋成就のために、一肌も二肌も脱ぐ気漫々のようです。頼んだよ。

 さあ、とうとう寺を抜け出した、ふたりの道行のさきに待つものとは!?無事に愛しい律師に逢えるのか!? まずはこれにて。
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コメント

はじめまして、楽しく読ませてもらってます。

桂寿くんの「やっぱこの人もまだ若いわね~。」と悟ったという辺りが笑ったw

本当に桂寿くんいいね!

  • 2012/04/17(火) 22:08:31 |
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  • あい #-
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