とにかく、重陽という日は、かの有名な上田秋成作・雨月物語収録の「菊花の約(ちぎり)」で、義兄弟となったふたりが再会を約束した日、悲しくも奇跡の再会を果たした日であります。
よってこの日を勝手に「衆道の日」と制定し、ひそかに盛り上がりたいと思います!
今日は菊の日。「菊花の約」は周知の物語なので、今回は「菊」についての雑学小話(?)。
◎菊の花言葉
まあ、まずは菊の基本知識から。菊は中国大陸原産で、奈良時代以後に日本に渡来。品種が非常に多く、各国で栽培されています。
そんな菊の花言葉は、「清浄」「高尚」「高潔」「愛」「真実」など。色によっても違うようです。なかなかいい言葉が並んでいますね。
さて、今回「菊」を熱心に取り上げるのは、ご存知の方も多いと思われますが、「菊」という言葉がソレを暗示し、またソノ人を指し、ソコさえも表す言葉だからですねv
◎「菊座とは慈童の時にいいはじめ」
という川柳があります。この慈童(じどう)というのは、以前「ねなしぐさ」のときにも少しだけ出てきましたが、中国古代・周の穆王(ぼくおう)の愛童で、伝説的少年です。彼のエピソードが「枕慈童」という謡曲になっています。
それによると、慈童くんは、ある時誤って、主君の御枕をまたいでしまい、その罪で深い山奥へ流されてしまいました。しかし主君のお情けで、その御枕に妙文(お経)を書いて賜り、それを菊の葉に写経して川の流れに浮かべると、その葉は水となった。その水を飲んだ慈童くんは、不老不死の身となり、さらに神のような力を得た、ということです。
なんら菊座とは関係ない話ですね;これは単なる菊に関係するだけの洒落のようです。ちなみにこの謡曲の中で慈童くんは、「いと美しき童子」と評されており、美少年であることは確かです。
これを翻案した長唄(歌舞伎舞踊)に「乱菊枕慈童」というのがあります。なにやら春本のタイトルのよーだなぁ;
◎若気
腐った人にはなじみ深い言葉ですが、やはり「菊座ってなに?」という方もおられるでしょう。そういう方は↑の言葉を辞書で引いてみてください。
おっと、「わかげ」ではありませんよ。「にゃけ」で引いてください。(広辞苑、大辞林で掲載確認済。)
どうですか?…ねvその外にも、そういう意味があるんですね~。
知りたくなかったー!!という方、申し訳ございません;同じ「若気」でも、「わかげ」と「にゃけ」では、全く異なるイメージの言葉になるわけですね。いやー、言葉って不思議だ!
しかしこれでもう、「にやける」なんて言葉を人前で使いづらくなりましたね;腐女子にとって「×××る」のは日常茶飯事なのに…;人から「なに、×××た顔してるの?」なんて言われたら、立ち直れないかもしれません。
では、最後にお口直しを。件の慈童くんの絵姿です。
実はこれ、春本の扉絵なんですよ。
(あ、この絵は健全ですからね。)
ちなみに、雨月物語には「青頭巾」という話があって、そこには可愛がっていた稚児が病で死に、それを悲しんだ和尚が、遺体を食べてしまうという○姦&カニ○リズムな一節があります。そういうと、かなりエログロなイメージですが、文体が美麗なので、そこだけでも読む価値アリです!
それでは、これからも「衆道」に思いを馳せて…。
スポンサーサイト