梅色夜話

◎わが国の古典や文化、歴史にひそむBLを腐女子目線で語ります◎(*同人・やおい・同性愛的表現有り!!)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

初春企画 「はじめての女装物語」を読む!!

 あけましておめでとうございます。
 昨年は更新回数が数えるほどであったにもかかわらず、お付き合いくださいました方には本当に感謝感激であります!
 本年も更新は少ないかと思われますが、どうぞよろしくお願いいたします。


 さて、今回は、新春特別企画といたしまして、日本最古の古文を読んでみようなかなぁと思います。
 それもテーマは昨今注目されつつある(!?)「女装」!!
 というわけで、かの有名な『古事記』・『日本書紀』より、ヤマトタケルの熊襲征伐のエピソードを味わいたいと思います。
 いつもとは趣向が若干異なりますが、どうぞお付き合いくださいませ。

 *文中、登場人物の名前が複雑で、漢字変換が面倒なのでカタカナで表記させていただきます;


◇『古事記』 中つ巻

*前略*
 景行天皇は、息子の大碓命(おおうすのみこと:ヤマトタケルノミコトの兄)が朝儀に出てこないので、もう一人の息子・小碓命(こうすのみこと:のちのヤマトタケルノミコト)に「やさしく親切に」教え諭すように命じた。しかし、コウスは、天皇の言葉の裏を取って、兄を殺してしまった。
 コウスの凶暴さを恐れ疎んだ天皇は、西国の熊曾(現在の熊本と鹿児島の一国に住む異族)の長(クマソタケルノミコト兄弟)征伐に派遣した。


 このときから、コウスは髪を額(ぬか:15、6歳の少年の髪型)に結っていた。
 熊曾への道中、コウスは、景行天皇の妹であるヤマトヒメノミコトの衣装を借り受けて、剣を懐に入れて旅立った。
 クマソタケルの家に到着し、あたりを見ると、家の周りでは軍隊が厳重に警備していて、その中心に家を建てて、そこに討つべきクマソタケルがいた。そこでは新築祝いの宴をすると言って、食事の準備をしていた。彼らはその傍らをぶらぶらと歩き回って、その祝宴の日を待ち遠しくしていた。

 いよいよ祝宴の日になった。コウスは童女(おとめ)の髪のように、額の上に結われた髪を梳(くしけず)り垂らし、伯母からもらった衣装を身に付けてすっかり童女の姿になって、女人の中に紛れ込んで、クマソの家の中に入り込んだ。
 すると、クマソタケル兄弟は二人とも、コウスの変装した乙女に惚れ込んで、自分たちの中心に座らせて、大いに宴を楽しんでいた。
 そこで、宴もたけなわになった頃、懐から剣を取り出して、兄のクマソの衣の襟を掴んでその胸を刺し貫いた。これを見たは恐れて逃げ出した。コウスはすぐさま追いかけて、高床式の家の階段の下に追い詰め、その背中の皮を掴んで、剣を尻から刺し通した。
 すると弟のクマソタケルが言った。
 「その剣を動かさないでください。言いたいことがあります」
 そこで、その申し出をゆるしてしばらく押し伏せたままにした。弟のクマソは、
 「あなた様はどなたですか」
と尋ねた。そこでコウスは、
 「私は大八島国(おおやしまくに)を知らしめす(日本国を領知する)景行天皇の御子、名はヤマトオグナの王(おおきみ)だ。貴様らクマソ二人は朝廷に対して服従帰属の礼を欠くとお聞きになった天皇が、『貴様らを殺せ』と仰せになって、私を遣わしたのだ」
 するとクマソタケルノミコト(弟)は、
 「やはりそうでしたか。西の方には、我ら二人を除いて、強く力のある者はいません。けれども大倭の国に、我ら二人に勝って強い男がいたとは! ですから、私から御名を奉りましょう。今から後は、倭建(ヤマトタケル)の御子(みこ)とほめ称えましょう」
 クマソタケルノミコト(弟)がそう言い終わると、コウスは熟した瓜のようにクマソ(弟)を切り殺した。
 よって、このときより、御名をほめ称えて、ヤマトタケルノミコトと呼ぶのである。(終わり)





 コウスくん、怖いって!! 尻を刺すなよ;
 それにしても、たくさんいる女人の中から二人に選ばれるなんて、コウスくんの女装姿は見事なものだったのでしょうね。 
 この話をちゃんと読むと、コウスくんの女装計画は、初めからあったように思われます。自分が女装すれば、可愛い女の子に変身できて、男をだませるんだと、日ごろから考えていたのでしょうか。やっぱり恐ろしいコです・・・。

 では、ついでに『日本書紀』の方も見ておきましょう。細部は異なりますが、あらすじは同じです。


***
◇『日本書紀』 巻第七(景行天皇)

 秋八月に、熊襲はまた反乱を起こした。
 冬十月、熊襲を討たせるため、天皇はヤマトタケルノミコトを遣わした。
 ヤマトタケルノミコトは十二月に熊襲国に入った。そこにはクマソタケルという者がいた。名前はトロシカヤ、あるいはカワカミノタケルといった。親族をすべて集めて新築の祝宴をしようとしていた。
 そこで、ヤマトタケルノミコトは、髪を解いて童女の姿となり、こっそりとカワカミノタケルの宴の時を窺っていた。剣を着物の裏に隠し、カワカミノタケルの宴の家に入って女人の中に紛れ込んだ。
 カワカミノタケルは、その童女の容姿端麗なのを気に入って、すぐに手を携えて席を供にし、酒を飲みつつ、その童女に戯れ、弄った。
 夜も更け、人がまばらとなった時、カワカミノタケルは酒に酔っていた。そこでヤマトタケルノミコトは着物の中の剣を抜いて、カワカミノタケルの胸を刺した。いまだ死なぬカワカミノタケルは、
 「少し待ってください。言いたいことがあります。あなた様はどなたですか」
 ・・・
 ・・・こうして日本武皇子(ヤマトタケルノミコ)の名をもらい、今に至るまで、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)と褒めたたえるのである。(終わり)





 『日本書紀』版、いかがでしたか。こっちでは、お触りまでされちゃってます(原文「杯を挙げて飲ましめつつ、戯れ弄る」)。男の子だとバレなかったのでしょうか? 気持ちよく飲んでたのにいきなり刺されて、クマソさんの驚きようはハンパじゃなかったでしょうね。


***

 いつもとは趣向が違いましたが、今回はいかがだったでしょうか。男色に限らず、美少年のお話、ファッション、女装の話題なんかにも触れていきたいなぁと思っております。(個人的には、古文の中の百合話なんかも探して見たいのですが・・・あるのかな?)
 今年もどうぞよろしくお願い申し上げます!



 
スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。