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梅色夜話

◎わが国の古典や文化、歴史にひそむBLを腐女子目線で語ります◎(*同人・やおい・同性愛的表現有り!!)

男色大鏡 其の二

 墨絵につらき剣菱の紋 巻一の(五)
 嶋村大右衛門(27)(武士)×春田丹之介(15)
 
◎顔も知らない思い人
 龍右衛門という男を振ったために、その恨みを買い、濡れ衣を着られて閉門を命じられた丹之介を救ったのは、企みの一部始終を偶然目撃していた大右衛門だった。丹之介は、「自分に同情して助けてくれたのは誰だろう」と名乗り出ない相手を探し続けていた。
 翌年の春、とうとうふたりは巡り会うことができた。そのときから互いに深く思いあい、契りを重ねるようになった。

◎忍んで渉る思い川
 大右衛門は人目を避けて、丹之介の屋敷の裏を流れる大川を(歩いて!)越えて通っていた。何度危ない思いをしても通い続ける大右衛門、相当惚れてるな。
 そして十月十四日、いつものように大右衛門は丹之介の屋敷にやってきたが、少し様子が違っている。すると、丹之介が激しく障子を開け、「夢にしても今のは悲しかった」と言って涙ぐんだ。「大右衛門だ」と声をかけると、「うれしいv」と濡れたままの身体に抱きついた。川越えがつらかったのも忘れて、最前の仔細を訊くと「あなたが命を落とす夢を見たのです…」と、また涙に沈んだ。「久しく会わないときに、せめて夢でみることができるのは楽しみなことだよ」と機嫌をとり、床に入った。(↑いいカンジの部分だったのでほとんど全部書いてしまった;でも力不足…)
 翌朝、また川を越えて帰っていく大右衛門を、丹之介は姿が見えなくなるまで見送った。これが大右衛門と丹之介の最後の逢瀬だった…。  【“男色大鏡 其の二”の続きを読む】
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男色大鏡 其の一

 おもしろい話を拾って、あらすじ・感想等を、妄想を交えてお送りします。あんまり信用しないでテキトーによんでくだせえ。

 
 垣の中は松楓柳は腰付 巻一の(三)
 笹村千左衛門(下級武士)×橘玉之助(15)(小姓)

◎玉之助、蹴鞠中に倒れる!
 玉之助が御奉公に上がるとすぐに、天性の美貌と心がけのよさで、殿のご寵愛を得ることとなった。
 ある夕方、御前で玉之助を含めた美しい御小姓4人が蹴鞠を披露していると、玉之助は急に目つきが変わり、身体が震え、手足も青ざめて、気を失ってしまった。挿絵を見ると、ほかの3人の御小姓が、玉之助をひざにかかえ、額に手を当て、脈をとっています。なんかいいなぁ~美少年美少年介護v
◎千左衛門の片思いお見舞い
 千左衛門は知る人も少ない末の役人だったが、ずっと玉之助に恋焦がれていた。しかし玉之助の容態は一向に良くならず、もし命が危ういときは自分も生きてはいまい、と心に決め、1日3回、半年間も毎日見舞いに行き続けた。凄い根性だ!愛の成せる業ね。
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私的三大古典全集徹底比較!

 古典を読んでみようかな~、と思ったら、まずは手近な学校や、近所の図書館に行きませう。どこの図書館でも、以下の3種の全集のうち、どれか2種はおいてあるものです。
 では、管理人が実際に読んで感じたことを交えて、三社の全集を比べてみたいと思います。


◎岩波書店 日本古典文学大系、新日本古典文学大系
 「旧」は赤黒い表紙でかなり古いものです。(30年位前刊行が中心か)「新」は緑色の表紙。こっちは新しいのでキレイです。どちらも本文の上か下に注有り。大きさは21×15cm。
 何と言っても、数が圧倒的に多い!!新旧あわせると、200巻くらいになるんじゃないでしょうか?マニアックな作品もたくさん収録されています。よって一番お世話になっている全集です。
 <オススメ巻>
 旧:御伽草子 稚児物語の傑作「秋夜長物語(アキノヨナガモノガタリ)」が収録されています!全編漢字とカタカナですが…。
 新:室町物語集(上) こちらも稚児物語「あしびき」収録v

◎新潮社 新潮日本古典集成
 黒い表紙がスタイリッシュ。大きさは13.5×19.5くらいと小さめで、電車の中でも読めそう。キレイです。
 収録作品はわりとオーソドックスですが、上に注、本文と本文の間には解かりづらい部分の訳が赤字で記されていて、とても読みやすくなっています。同じ話を読むなら、新潮がいいかも。
 <オススメ巻>
 三人吉三郭初買(サンニンキチザクルワノハツカイ) 河竹黙阿弥の歌舞伎脚本。女装の盗賊お嬢吉三が、カッコかわいいv

◎小学館 日本古典文学全集
 赤い表紙。岩波よりちょっと大きく、厚みもややあり。持ち運びにはちときついかな。
 上に注、下に現代語訳とサポートが充実。口絵にカラーページもついてます。初めてのひとはこれで訳と照らし合わせてよむといいかも。授業の予習にも使えるか?
 <オススメ巻>
 井原西鶴集(2) あの「男色大鑑(ナンショクオオカガミ)」収録!巻末の「『男色大鑑』登場役者一覧」が嬉しいぞ。
 
 
 それぞれの特徴、分かっていただけましたでしょうか。まあ、結局は、求める作品が収録されているかどうか、ということに重点が置かれるわけなのですが;少しでも興味をお持ちになりましたら手にとってちょっと読んでみてください。挿絵を見るだけでもおもしろいですから…ね。

古典BL文学を読む!!

古典の授業で萌えたことありませんか?「伊勢物語」なんかでやる忠愛話なんか、いいですね~。漢文にも(のほうが?)BLッぽい話が多くて、1時間中、脳内がファンタスティックロマンティック
空間です。ああ~「ッぽい」じゃ生ぬるい!もっと別の話はないのか!?モロ!てやつは!!
 そういうわけで、授業以外にも古典文学を読むようになってしまったわたくしが、「古典を読むってなかなか面白いですよ…」とこっそり耳打ちしたい今回。


◎古典はやっぱり原文で!!
 難しそうとお思いになるかもしれませんが、絶対に原文で読むのがおすすめです。
 原文で読むのが良いと思う理由
 一、古文独特の言葉の響きや、韻、技法などをたのしむことができる。(まあ、一般的な理由ですが。言葉に関する新しい発見もあってたのしいv)
 一、現代語訳や漫画化されたものは、信用できない!(勝手な理論ですが、疑り深い私には重要なことなのです。訳者の見解が入ってくるし、エピソードが削除されていることもある!)
 一、「それ」系のものは、現代語訳本がない!(もう原文を自力で読むしかないんです。これが一番の理由かも知れない;)

 でも実際に、原文で読めるんでしょうか。理系の人間にも読めるんですから読めます、多分。
 簡単(?)に読む方法
 一、適当に読む!(感性で読んでください。授業やテストじゃないんだから、訳や解釈が間違っていても、誰にも叱られません。現代小説でも、分からない漢字は飛ばして読んでませんか?)
 一、江戸文学あたりから読む!(平安あたりの文章は、わたくしもよく読めません!お高くまとまった貴族さまのお話より庶民の下世話な話のほうが合うんです。文体も現代に近くなって読みやすいです。)
 一、興味のある話を読む!(好きこそものの…です。コレに限ります。)

 上記のように読めば、注釈と授業で習うくらいの知識で十分楽しめると思います。なんせ日本語ですしね。
 つーことで、次回は「たくさんある古典全集の中でどれを読んだらいいのか!?三大古典全集徹底比較!!」をお送りします。(ぇ

衆道のいろは 一

衆道の決まりごとや心得などをすこしずつ学んでいきませう。(謎)


◎若衆の年齢
 『心友記』(「近世色道論」日本思想体系 岩波)には、若衆として「受」を勤める年代を 「十二歳より二十歳まで、九年の間也」 としています。意外とフツーに少年の時期ですね。現代でいうと、中学から高校・大学の前半までということだ!

◎若衆の年齢と衆道
 同書では、若衆としての9年間を三つにわけてそれぞれの年代における「衆道」の心得を教えています。また『男色二倫書』にも同様の記述があります。この二書からみてみましょー。
 12~14歳:この時期は「主童道」とかいてしゅどう、という。
      幼い年頃なので、子供らしく、利口ぶらないで振舞うのが良い。
       純心なところがかわいい年頃ということですね。
 15~18歳:この時期は「殊道」という。
      9年間でもっとも盛んなころである。
      この間は様々なことに心を迷わせる時期(思春期ということか?)なので、ただ情を素直
      に、嗜みを清くするべきである。
       多くの衆道モノの主人公も、この年頃です。特に「二八(にはち)」つまり2×8=16歳
      は、もっとも花のある時期として注目(?)されます。これは室町のころ、稚児の世界でも
      同じです。
      あなたの周りの男子高校生はどうですか!?
 18~20歳:この時期は、衆道の治まる時期なので「終道」という。
      殊勝な心の上に男の義理を添えてたしなむべきである。また、たがいに「道」を助けて、
      万事に誤り無いようにすべきである。よって「主道」ともいう。

 これで若衆の一期は終わりを迎えますが、しかし悲しむことはありません。これはあくまでも目安であって、実際にコレに当てはまることは少ないと思います。途中で元服して若衆でなくなったために関係をおえたり、20歳をこえても交際を続けたり、という話はいくらでもあります。(いろいろなエピソードはこれからやっていきたいと思います!)
 こういう当人同士の都合によるとこまで、なんやかやといわれているのが、「道」たるところであるなあと思う限りでございます。

衆道とは

◎衆道(しゅどう)
 「男x男」を表す言葉。特に武士同士の愛情関係。
 若衆道の略。よって若道(にゃくどう)ともいう。江戸時代によく使われています。若衆(わかしゅ)は受側の少年のこと。多くは元服前の武家の少年を指します。攻側は念者(ねんじゃ)とか念友(ねんゆう)とかいわれます。
 「道」ですのでいろいろ決まりとか、作法とか、心構えみたいなものが存在します。単なる「男色」とは一味違うぞ。
 まず、「美少年」を愛する、というところが大きな特徴のひとつでしょうか。これは日本の男色全般にいえることですね。それゆえ絶対的に「年上x年下」というカプになります。年下攻めは絶対にありえません。年下から告白することも、かなり稀なことです。(私的には一例のみ確認) 
 これが衆道の大前提なのですが、年上攻めであれば、身分下攻めはOKなのです!家臣x主君、下男x若衆などなど、障害があるほど恋は燃える!みているこっちも萌える萌える!本物の階級社会ですので、身分違いの恋によせる思いや葛藤は格別のものがあります。
 これぞ衆道萌えの醍醐味じゃあ!!

 常日頃、男色や衆道といった日本古来のBLに萌えているわけなのですが、いかんせん語りつくせる相手がいない…。そんな思いの丈とすこしばかりの受け売り知識をぶちまけていこうという魂胆です。


 本日、念願叶って日本男色史の名著『本朝男色考 男色文献書志』を手に入れることができました。高かったけどなかなか良い感じです。頑張って読破します!
 ちなみに、第一章は「日本男色の起源」。俗に弘法大師がこの道の開祖といわれていますが、じつは「日本書紀」にまで遡るらしいです。神話の時代から存在するんですね。
 天野祝(あまのはふり)という男が、「善友(うるはしきとも)」の小竹祝(しぬのはふり)が病で死んだのを悲しんで、その屍の傍で自害した、というお話です。ただの友達が死んだだけじゃあ、後は追わんわな。死の前の天野祝の一言 「何ぞ死して穴を同じくすることなからんや」 なんか意味深?