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梅色夜話

◎わが国の古典や文化、歴史にひそむBLを腐女子目線で語ります◎(*同人・やおい・同性愛的表現有り!!)

SHUDO!本朝寺院対決!!

 お久しぶりです;
 今回は少し趣向を変えて、平安仏教について。果たして思惑どおりにいくかどうか!?


 第1回戦!空海VS最澄!!
 
 日本男色の開祖・空海!
 日本真言宗の祖にして、弘法大師の異名を持つ空海。唐での修行時代に、文殊菩薩と契り、日本男色の開祖の名をほしいままにする。
 後々までも「高野六十那智八十」(*1)と言わしめる、本朝BL界最強の王者である!

 対するは、日本天台宗の祖・最澄!
 初めて比叡山に登山した際、初めに稚児に会い、次に山王(山の地霊)に出会ったという伝説を残す男。「一稚児二山王」(*2)は伊達じゃない!


 両者、一歩も譲らず膠着状態!やや那智が優勢かと見えたその時!!
 
 なんと、天台宗に内部抗争が勃発!
 密教化の基盤(台密)を整備した、山門派の円仁。対する寺門派の円珍は、台密の更なる優勢を主張して園城寺(三井寺)に移った。

 「コノヤロー!俺たちの稚児に手ェだしやがって!」
 「てめえらこそ、うちの僧をたぶらかしただろー!」

 両者の対立は深まる一方。いま、新たなる戦いの火蓋が切って落とされた…!!

 (*1)高野山では60歳、那智では80歳になっても、稚児を務めるものがいるという意味の慣用句。
 (*2)上記の故事にちなむ慣用句。比叡山で稚児を大切に扱う習慣を評する時などに使う。

 
 はい。あー、これは、各方面にお詫びしなくてはならないかもしれませんね;誠に申し訳ないです、ごめんなさい。これらの内容は、伝え聞いた情報によって構成されていますので、あまり鵜呑みにしないで下さいね。ギャグですよ、ギャグ。立木○彦氏のナレーションを想像して読んでいただくと、より楽しんでいただけるかと思います。

 と、いうわけで、次回からまた長期でやります。
 扱うのは、稚児物語の魁的作品、「秋夜長物語(あきのよのながものがたり)」! 「山門派VS寺門派 稚児争奪戦!」の第一回戦ともいえる(!?)悲恋物語です。お楽しみに~。
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 9月9日、重陽です。菊の節句です。(といっても、菊なんざぁ何処にも咲いちゃいねぇ;旧重陽は今年は10月11日です。)
 とにかく、重陽という日は、かの有名な上田秋成作・雨月物語収録の「菊花の約(ちぎり)」で、義兄弟となったふたりが再会を約束した日、悲しくも奇跡の再会を果たした日であります。
 よってこの日を勝手に「衆道の日」と制定し、ひそかに盛り上がりたいと思います!
 今日は菊の日。「菊花の約」は周知の物語なので、今回は「菊」についての雑学小話(?)。


◎菊の花言葉
 まあ、まずは菊の基本知識から。菊は中国大陸原産で、奈良時代以後に日本に渡来。品種が非常に多く、各国で栽培されています。
 そんな菊の花言葉は、「清浄」「高尚」「高潔」「愛」「真実」など。色によっても違うようです。なかなかいい言葉が並んでいますね。

 さて、今回「菊」を熱心に取り上げるのは、ご存知の方も多いと思われますが、「菊」という言葉がソレを暗示し、またソノ人を指し、ソコさえも表す言葉だからですねv

◎「菊座とは慈童の時にいいはじめ」
 という川柳があります。この慈童(じどう)というのは、以前「ねなしぐさ」のときにも少しだけ出てきましたが、中国古代・周の穆王(ぼくおう)の愛童で、伝説的少年です。彼のエピソードが「枕慈童」という謡曲になっています。
 それによると、慈童くんは、ある時誤って、主君の御枕をまたいでしまい、その罪で深い山奥へ流されてしまいました。しかし主君のお情けで、その御枕に妙文(お経)を書いて賜り、それを菊の葉に写経して川の流れに浮かべると、その葉は水となった。その水を飲んだ慈童くんは、不老不死の身となり、さらに神のような力を得た、ということです。
 なんら菊座とは関係ない話ですね;これは単なる菊に関係するだけの洒落のようです。ちなみにこの謡曲の中で慈童くんは、「いと美しき童子」と評されており、美少年であることは確かです。
 これを翻案した長唄(歌舞伎舞踊)に「乱菊枕慈童」というのがあります。なにやら春本のタイトルのよーだなぁ;

◎若気
 腐った人にはなじみ深い言葉ですが、やはり「菊座ってなに?」という方もおられるでしょう。そういう方は↑の言葉を辞書で引いてみてください。
 おっと、「わかげ」ではありませんよ。「にゃけ」で引いてください。(広辞苑、大辞林で掲載確認済。)
 
 どうですか?…ねvその外にも、そういう意味があるんですね~。
 知りたくなかったー!!という方、申し訳ございません;同じ「若気」でも、「わかげ」と「にゃけ」では、全く異なるイメージの言葉になるわけですね。いやー、言葉って不思議だ!
 しかしこれでもう、「にやける」なんて言葉を人前で使いづらくなりましたね;腐女子にとって「×××る」のは日常茶飯事なのに…;人から「なに、×××た顔してるの?」なんて言われたら、立ち直れないかもしれません。

 では、最後にお口直しを。件の慈童くんの絵姿です。
 実はこれ、春本の扉絵なんですよ。
(あ、この絵は健全ですからね。)
 ちなみに、雨月物語には「青頭巾」という話があって、そこには可愛がっていた稚児が病で死に、それを悲しんだ和尚が、遺体を食べてしまうという○姦&カニ○リズムな一節があります。そういうと、かなりエログロなイメージですが、文体が美麗なので、そこだけでも読む価値アリです!
 それでは、これからも「衆道」に思いを馳せて…。

若衆 (布教のために、語句解説をしてみむとす)

 このブログに、毎回のように出てくる単語、「若衆(わかしゅ)」。
 「受」の少年、ということは分かっていただけたと思いますが、一口に「若衆」といっても、いろいろとあるのです。

 
 普通、「若衆」といえば、単に「少年」、近世なら「元服前の少年」を意味します。しかし、古典BL文学の世界では、特に「武家の少年」をイメージします。そして、絶対に「美少年」。

 しかし、「若衆」には、もう一つの意味がある!それが、「色を売る少年」です。
 江戸時代には、そういう類の職業が、たッッッくさんあったのです!が(つまり、もともとは僧や貴族、武将だけの趣味だったのが、民衆に広まり、ものすごい人気を得ていた、ということである)、頂点にあるのは歌舞伎の女方(女の人を演じる役者)、若衆方(文字通り若衆の役をする役者)で、「歌舞伎子」とか、「舞台子」とかいう子たちです。
 こういう子達をお金で買って、遊ぶことを「若衆買い」といい、その度が過ぎる人は、「若衆狂い」なんて言われてしまいます。
 

 要するに、「若衆」には、普通の少年と、商売の少年がいる、ということです(しかし後者は「少年」とは限らない…)。
 では、それをもっと細かく分けてみましょー。 【“若衆 (布教のために、語句解説をしてみむとす)”の続きを読む】

衆道とは

◎衆道(しゅどう)
 「男x男」を表す言葉。特に武士同士の愛情関係。
 若衆道の略。よって若道(にゃくどう)ともいう。江戸時代によく使われています。若衆(わかしゅ)は受側の少年のこと。多くは元服前の武家の少年を指します。攻側は念者(ねんじゃ)とか念友(ねんゆう)とかいわれます。
 「道」ですのでいろいろ決まりとか、作法とか、心構えみたいなものが存在します。単なる「男色」とは一味違うぞ。
 まず、「美少年」を愛する、というところが大きな特徴のひとつでしょうか。これは日本の男色全般にいえることですね。それゆえ絶対的に「年上x年下」というカプになります。年下攻めは絶対にありえません。年下から告白することも、かなり稀なことです。(私的には一例のみ確認) 
 これが衆道の大前提なのですが、年上攻めであれば、身分下攻めはOKなのです!家臣x主君、下男x若衆などなど、障害があるほど恋は燃える!みているこっちも萌える萌える!本物の階級社会ですので、身分違いの恋によせる思いや葛藤は格別のものがあります。
 これぞ衆道萌えの醍醐味じゃあ!!